紅の衣装

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家族とお気に入りの女房。 わたくしの春は幸せで一杯のはずだった。 それでも、油断すると入り込んでくるあの方との夜。 わたくしの真っ白で無味無臭であった人生に、ぽたりと垂れた一滴の血のように妖しくも恐ろしい甘美な思い出……… 内裏で管弦の宴が催されれば、わたくしは必ずと言ってよいほど主上よりお呼びがかかり清涼殿に登り、並み居る殿上の方々を拝見した。 浮き立つ気持ちが一気に冷える。 わたくしは何時もあの方を御簾越でも見つけてしまう。
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