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一切経供養当日の日、少納言ら女房はみずからの用意とわたくしの支度に忙しく立ち動いていた。
そこに届けられた懐仁様よりの文。
美々しく着飾った宮の姿が見れずに誠に残念だ。そんな貴女が見つめるであろう仏にも、仏の道に進まれた尊い僧にも嫉妬しまいそうだ。
わたくしは微笑んで薄様の赤い紙にお返事をしたためる。
尊い仏様の前で願うのは、懐仁様の千年続く御代の繁栄です。
お経を詠むのに忙しく、清らかな僧に目を奪われている暇は御座いませんわ。
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