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ピンポーン
「叔母さん、おはようございます」
女性特有の柔らかく優しい声が響いた。
「ごめんねー、毎朝、毎朝、家のバカ息子の為に……」
如何にも世話好きの叔母さん……僕の母さんの声が聞こえてきた。
あぁ、きっと怒鳴られる……
「徹平!早く起きんさい、遅刻したいの!?」
あぁ、やっぱり、母さんの怒声が、家中に響いた。
「分かってるよ!今、準備してるんだってば!」
僕は、学校指定の制服に着替えながら、片手にカバン、片手にコーヒー牛乳のパックを持ちながら、階段を駆け降りた。
「全く、あんたは毎朝、毎朝、ちっとは、菜々美ちゃんを見習いなさい!ほら!寝癖!」
母さんは、口を休める事無く言い切ると、僕の髪を弄り始めた。
「あぁ、もう、さわんなよ!行ってきます!」
僕は、そんな母さんの手を払いのけて、家を出た。
「相変わらずね、おはよう、徹平」
彼女は、花總菜々美。
僕の幼馴染みだ。
こうして、毎朝、毎朝懲りずに、僕を迎えに来てくれる。菜々美のおかげでこう見えて僕は、中学生活で一度も遅刻をしたことがない。
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