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桜が咲きほこるここ、光陽学園の校門に看板がかけられていた。
『卒業式』と。
卒業証書を受け取った者達は皆思い思いに友人や先生と笑いながら、時に涙ぐみながら雑談していた。
そんな中、一際目立つ二人がいた。
「うぅ………あーちゃん、卒業おめでとう……グスン」
一人は私服の少女、制服を着た少女の隣で泣いている。
「お母さん、もう分かったからもう泣かないで。ほら、ち~ん」
そしてもう一人、卒業証書を手に持つ少女は私服の少女の鼻をかむ。
私服の少女の名は時雨亜麻、そしてもう一人の少女は時雨亜沙。姉妹に見えるこの二人、実は親子である。しかも見た感じ幼い時雨亜麻が母親であり、その娘が時雨亜沙であるのだ。
「やっぱり………逆だよな、普通」
「です……よね」
「やっぱり馴れないよね、あれは」
そして、その二人を眺める三人組、稟、楓、桜は冷や汗をかいていた。亜沙の知り合いとはいえ、流石に馴れないようだった。
「もうお母さんったら、普通泣くのはボクでしょうが」
「そのわりには亜沙先輩はいつも通りですね」
「まぁ、亜沙先輩には涙は似合わないですけどね」
ガンッ!!
「稟ちゃ~ん、それはボクへの宣戦布告なのかなぁ~?」
「いいえ、なんでもありません。ですので卒業証書の入れもので叩かないでください」
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