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俺は夜、公園の墓の前に再び立っていた。
だが、健二の姿が見えない。
「おーい。」
「………そういや時間とか聞いてねーや。」
俺は小さく溜め息をつき、草の上に寝転ぶ。
カサカサと草は音を立てて、俺の頬をくすぐる。
俺はゆっくりと目を閉じた。
『おーい。起きてるかー?』
目を閉じた所で夕方に聞いていた声に意識を引き戻される。
「おせーぞ!こんな事になるくらいなら時間指定か、まだ俺の中に居ればよかったのに。」
俺がそう愚痴を溢すと、健二は少し申し訳なさそうに言う。
『すまんすまん。…だけどお前の中に入ることは出来ない。力を使い果たしたし。』
「ん?そうなのか?
…じゃあどうして此処で姿を現す事が出来るんだ?」
俺はまだ草の上に寝転び、健二の姿を見上げながら疑問を飛ばす。
健二は空中に漂ったまま降りずに俺の疑問に答える。
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