3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
地下鉄の階段を、少年が駆け上がる。
いつもは1本前の電車に乗っていたのが、今日に限って寝坊した。
そのせいで、いつもよりも一本遅い電車に乗らなくてはならず、今こうして猛ダッシュをするハメに。
「くそっ・・・」
少年は、誰にともなしに舌打ちをする。
今日は、特別な日なのだ。
今日だけは、寝坊してはいけなかった。
全速力で地上に飛び出ると、朝の太陽が目に染みた。
一瞬目を細めたが、すぐに何かを探すようにあたりを見回す。
そして、
「いた・・・」
彼は安堵のため息を漏らした。
しかし、彼が見つけたその人は地下鉄の入り口からは道路を挟んだ向こう側を歩いていた。
歩道橋まで行っていては、間に合わない。
しかし、その道路は広い2車線道路で朝の時間は車がなかなか途切れない。
迷っている間にも、その人は前に向かって進んでいく。
「あー・・もう!!」
彼は、シャツの袖で汗をぬぐうと、ガードレールを飛び越えた。
そして、車が途切れた隙を見計らって彼女に向かって走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!