人を撃つということ

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今,学校ではエアガンとよばれる,米粒ほど小さい玉を飛ばす拳銃が流行っている。ものがいいほど速く,遠くへ飛ばすことができる。 僕も母親にすがり買ってもらい,みんなと同じように遊んでいた。的を狙って当てたり,ある程度の距離を保ち,足を狙って「銃撃戦だ!」と,かなり危険な遊びが流行っていた。それでも僕らは,顔だけは絶対に打たないという意識で遊んでいた。当たり前である。顔に当たっちまったら,一生傷が残るだろう。 ある日,僕はエアガンを持って後ろから気づかれないように栄介に近づいていた。ガンを彼の右斜め後ろから,彼の目尻に向けた。もちろん,ふざけてである。 僕は右人差し指に力を入れていた。「パンッ!!」という音とともに,栄介は右目を押さえ地面に倒れた。 僕はガンを落とした。 体が震えた。 僕が… 僕が人を撃った… 僕が… 人を… ―――また…?――― ガンを向けたのはふざけてだった。 でも,僕は本気で彼を撃った。 目を …目? 失明させてしまったかもしれない。 「栄介!栄介!!」と叫びながら,涙がこぼれた。
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