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友達
目が覚めたら見知らぬ天井。
――いや、ここは私の住み処だ
そう気づくまで、数分かかった。
「のど、いてぇ」
干からびた声しか出ない。オマケに頭も非常に重い。
「み、みず」
這ってキッチンに行くと、カップに水道水を注ぎ、たてつづけに飲んだ。
「う!」
途端襲ってくる吐き気に、脂汗を垂らしながら、トイレへよろめきながら進む。胃の中の物をあらかた吐き出して、私は便座を抱きしめながら、必死に記憶をたどっていた。
カラオケに入ったのは18時。最初は大人しくしていたのに、勧められるまま生ビールを一気のみしたのが、いけなかった。酒が弱いのに酒好きの私に、勢いがついてしまったのだ。
「それからー、何したっけー」
自分に語りかけるような独り言を、呟きながら考え込む。
思い出せない。
「うー」
寝たら思い出すかもしれない。私は洗面所でうがいをして顔を洗うと、部屋へ戻った。
「あー」
畳んだ布団のあいだに、挟まって寝ていた跡が残っている。しきなおす体力もなく、私はまた布団に挟まった。
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