友達

1/3
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

友達

 目が覚めたら見知らぬ天井。 ――いや、ここは私の住み処だ  そう気づくまで、数分かかった。 「のど、いてぇ」  干からびた声しか出ない。オマケに頭も非常に重い。 「み、みず」  這ってキッチンに行くと、カップに水道水を注ぎ、たてつづけに飲んだ。 「う!」  途端襲ってくる吐き気に、脂汗を垂らしながら、トイレへよろめきながら進む。胃の中の物をあらかた吐き出して、私は便座を抱きしめながら、必死に記憶をたどっていた。  カラオケに入ったのは18時。最初は大人しくしていたのに、勧められるまま生ビールを一気のみしたのが、いけなかった。酒が弱いのに酒好きの私に、勢いがついてしまったのだ。 「それからー、何したっけー」  自分に語りかけるような独り言を、呟きながら考え込む。  思い出せない。 「うー」  寝たら思い出すかもしれない。私は洗面所でうがいをして顔を洗うと、部屋へ戻った。 「あー」  畳んだ布団のあいだに、挟まって寝ていた跡が残っている。しきなおす体力もなく、私はまた布団に挟まった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!