00 プロローグ

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普通と特殊、2つの枠組みに当てはめるとするならば、恐らく特殊の枠に入るであろう彼女に比べて、僕は普通の男子高校生だった。   ある点だけ除けば。   の話であるのだが。   僕が素直に「普通枠」に華麗にスライディングゴール出来ない理由。      ・・・・・ それは異常な怪力という点である。   しかしそれはなにも、趣味は筋トレ、好きな物はプロテインと筋肉、というような超兄貴みたいなキャラでも風体でも僕はない、という事だけは理解してもらいたい。 むしろ僕は、全日本もやし選手権で良いところまで勝ち進めるのでは(そんな大会があるのかは知らないが)と期待されている(自分に)くらいである。 それくらいひょろい僕に対して、あまりにも不釣り合いな力が僕にはあるのだ。   この前、自動販売機の下に100円が転がり入ってしまい、拾おうと自販機を掴んだら、角度にして25度ほど簡単に傾いてしまい慌てて手を離したものだ。   何故僕にこんな力があるのか。 その話はまた今度する事にする。 話せばゴルゴもハンカチで目元を拭うような長く悲しいストーリーなのだ。     閑話休題   話は戻って鑑凪由衣である。 彼女と僕、鑑凪由衣と来栖悠。 相関図を作るとすれば、彼女からなんの線も伸びていなかった僕に、幸か不幸か、ある線が引かれるようになるなんて予想だにしなかった。     それは 本当にこのあと春が来るのか 疑わしくなるような寒さの残る 2月の冬の事である。
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