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女は喋った後は怯えており、勝手に震える自らの体を抑えるように、ギュッと抱き締める。
「いつしか彼はこう呼ばれる様になりました、『呪われた執事』と」
「私達で力を合わせ、追い払おうとしましたが、彼は何やら魔法を出してきたのです」
ハンドルをいじっていた安侮は、その言葉にピクッと反応し、彼等へ顔を向けた。彼だけでなく、闇乃と飛龍も同じ反応だった。
「これはただ事じゃないと直ぐに退きました。……しかしこのままでは私達の国が滅びてしまう。そこで、ここへ救いを求めに来ました」
「地下に眠るトーキョー教会。ここはどんな願いも本当に叶えて下さる聖域だと聞きましたから」
女は目を閉じ、祈る仕草を取る。安侮は吹きそうになったが、闇乃に叱咤をくらうのは面倒だなと何とか耐えた。
「その魔法を使う呪われた執事を消して欲しいと、言うわけですね?」
闇乃は祭壇に腰を掛けて足を組み、今までの彼らの言葉をまとめて問うた。男女は一度顔を見合わせ、暫しすると闇乃の目を確りと見、頭を縦に一度振った。
「良いでしょう、我々が何とかします」
「本当ですか!?」
「ああ、神様……」
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