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男女は立ち上がり、男は希望に満ちた笑顔をし、女は涙を溢れさせながら手を握り合わせた。
闇乃は彼等に微笑んだ後、安侮と飛龍を呼んだ。
「安侮、飛龍、頼んだよ。私はボスにこのことを伝えてくる」
「りょーかい」
待っていたと更にニヤついている安侮は、ハンドルを人差し指に引っ掛け、ぶらぶらさせながら立ち上がる。飛龍も、拳銃をしまうと立ち上がった。
実はMORSの長は闇乃では無く、闇乃の更なる上司で、裏世界では最凶無敵とも呼ばれているボスなのである。安侮達はボスの顔を見ることが出来ず、今は闇乃しか見れないし、話せない。
ボスはここにはおらず、高層ビルのどこかにいる。それを知るのは勿論、闇乃だけだ。
「場所は蘇格蘭。その国のどこかに、メトゥスがいる筈。なるべく地位の高い場所へ行くべきだね」
「悪魔の気なんか、魔力を使えば軽いさ」
真顔な闇乃に対し、安侮は得意気に笑んだ。
「安侮、行くぞ」
飛龍は安侮のとこまで歩むと小さく呟く。飛龍が喋る時は、大抵これ位の音量である。
「久々の血だ。じっくり楽しませて貰うぜ」
安侮は血に飢えた赤い目を光らせる。
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