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「どうやら貴殿方を見くびっていた様です。
──今思い出しましたよ。安侮愁人に飛龍。確かMORSのメンバーだと聞きます」
「だから何だと言うんだ?」
「ですから、こちらも本気を出すまでです」
ケルが指をパチンと鳴らすと、刃物だけでなく、あちこちの置物や割れた窓ガラスの欠片等を風が掻き集める。軈て無色の風に様々な色が飾られる。
安侮は口端を上げながら、飛龍は警戒しながらそれを見つめる。
「細切れにしてやりましょう」
二人の周りを風が囲む。これで二人は逃げようとも逃げれない。否、元々逃げるような真似は更々無いが故、中々避けるのが難しくなったと言った方がふさわしいだろう。
「安侮、気を付けた方が良い」
飛龍は目線をあちこち廻らせながら、安侮に注意を呼び掛ける。だが安侮は見た目警戒心は無さそうで、ケルを只見つめるばかりだ。
「人の心配より、自分の心配をしたらどうだ。俺は俺のやり方でいくぜ」
「! 安侮、正か……」
「飛龍は自分の身でも守ってな」
そして、色とりどりの風の中へダッシュして向かい、そのまま中へ入っていってしまった。
「安侮!……!?」
飛龍は、横から襲う何かを感じ、拳銃を向けた。そこには、皿の欠片を軽めに握った血みどろ人形が、宙に浮きながらこちらへ襲ってきたのだ。飛龍は怯まず、拳銃と機関銃を駆使して人形を破壊した。
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