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「………」
「そして私がメトゥス一の力を持つ者だと証明するのだ!!」
既に彼は自分が執事だと言うことを忘れ、MORSの一人を倒したい一心だった。
だがその時だ。
「──はあ?」
大袈裟に吐き捨てた安侮の上から目線が、ケルの身体中を金縛りで抑え込んだ。目元まで濃い影で隠れされている分、彼の赤い目がギラリと光った。
「ひっ!」
誰から見ても恐ろしいとしか言えない安侮の睨みつきに、ケルは恐れおののいてしまった。
「ぎゃ!」
安侮は落下スピードを利用し、ケルの顔面に蹴りをお見舞いする。ケルの顔は半回転してしまいそうな勢いで回り、体と共に床へ叩き付けられた。
何とかケルは力を込めて上半身を起こすが、目の前の床に彼の足が着地したのを見て、恐怖を目のあたりにしたことで更なる悲鳴を上げた。
恐る恐る見上げれば、変わらず見下す安侮の目がこちらを縛り付ける。だが口は下向きの三日月となっていた。
「テメェの脳味噌は何なの? 腐った味噌で出来てんの? だからそんな発言出来ちゃう訳なの? 頭いかれちゃってんの?」
明らかに笑っていない細い目をしながらも、口は面白おかしく笑いながら質問責めをしてくる。
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