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扉を音を立てて開き、大袈裟に扉を閉めれば、木で出来た奴でもかなりの音量を上げて閉まった。
そしてバージンロードへ顔を上げると、闇乃と誰かが話をしているのが目に入った。闇乃が安侮に気付き、
「彼にも協力して貰いますので」
と言う言葉が聞こえたので、いきなりの事に、ハ? としか言えなかった。そう思っている内に、話し相手がこちらへ、おぼつかない足取りで駆けて来た。そして安侮の服を掴む。
見た目はかなり年がいっている男性だ。しわくちゃの肌に、髪は白に脱色している。
「たたた助けてくれ! ワシの……ワシらの町はもうおしまいじゃ! どうか、どうかワシらの町を救って下され!」
「ち、ちょっと待て。落ち着けよ、じいさん」
安侮の声が聞こえていないのかは分からないが、未だに老人は安侮を揺すりながら懇願している。
外の騒ぎがやかましくて様子を見に来たのか、飛龍が本を片手に扉を開いた。そして目の前の彼等のやりとりをその場でジッと見る。
「あ、丁度良いとこに。こいつを何とかしてくれ、飛龍」
安侮が飛龍に振り向いてそう頼むと、理解不能ながらも飛龍は左手に銃を用意する。
「いやいやいやまてまてまて!」
それを慌てて闇乃が止めに入ったのは言うまでも無かった。
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