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「まぁ、とりあえず落ち着いたとこで……」
腕を組む闇乃の足元には、でかいタンコブを後頭部にうつ伏せで気を失ってしまった老人がいた。ギャグ漫画ならば、頭の上では数匹の雛か、数個の星がチラチラと見えているだろう。
(こいつも相当な奴だな)
安侮は、いつもと違った闇乃の1面を初めて見た気がした。
「今回は私も行かせて貰うから」
「上司もか。これはかなり美味しい仕事になるかもな」
上司も行くと言うことは、かなり重要な任務になるかも知れない。単純にそう考えている安侮は密かに歯を見せた。
隣に立つ飛龍は、変わらず黙ったままだった。だが、両手にはいつもの武器を握っているが故、やる気はそれなりにある様子だ。
「今回はターゲットの位置はまだ把握出来てないけどね。ただ、国の名前は上げられる。──羅馬尼亜(ルーマニア)だよ」
闇乃が上げた今の国名に、飛龍は顔を上げた。
「あ? 飛龍、何か心当たりでもあんの?」
安侮はニヤリと笑い、流し目で飛龍を見る。飛龍は安侮の目を見た。
「いや、さっき読んでいた本の内容に、その名前があったからな」
「あ、そ。偶然て怖いな」
何と無く相槌をしてから安侮は苦笑してみせた。
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