第2話:永久ニ美シキ血マミレノ夫妻

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「飛龍って、意外と隠れサドだな」  安侮はそんな彼に顔をニヤニヤさせていた。飛龍は彼には見向きもせず、前を見る。 (──何かがおかしい。妙に変な感じがする)  その事については、二人共既に気付いていた。──若い女性が少ないのである。老人や男性は結構見掛けるが、10~20代くらいの女性は比較的に少ない。メトゥスと何か関係があるのだろうか。 「あら、羅馬尼亜に観光かしら?」  安侮達の前に現れたのは、一人の金髪の女性だ。貴族のような夏用ドレスを身に纏い、日差しが強いのか、白いレースの日傘を差している。おまけに顔立ちも、この世の者とは思えない程に美しかった。  安侮は彼女の容姿を眺めてから、ヒュウッと口笛を鳴らした。 「こんな男臭い町にも、あなたの様な華がおられたのですねぇ」 「うふふ、それはお世辞のつもりかしら」  両手を上げて話す安侮に、女はクスクス笑った。  飛龍は周りを目だけで見てみる。町の人達は殆んどこちらを見ていた。中にはヒソヒソ話をしている者もいる。そして女性が不意に辺りを見ると、彼女の目線から逃げる様に慌てて顔を反らした。 「………」 「飛龍」
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