第2話:永久ニ美シキ血マミレノ夫妻

10/32
前へ
/100ページ
次へ
「──悪魔の殺し屋……とでも言っておきましょうかね」  そう告げた言葉を聞いたリーナの、笑んでいた紅い唇が僅かに歪む。目も一瞬だけピクッと反応した。安侮はそれに気付いているか否かは定かでは無いが、お得意の笑顔を消すことはしない。彼女の返事に期待する様に、ずっと彼女の目を見続けている。  ほんの1秒だけ空気が変わったが、普通の人間では気付かない程度だ。その後のリーナは、いつも通りの整った笑顔に戻っていた。 「……それは何とも言えない、素晴らしい仕事ね」 「おや、意外な感想ですね」 「だって、邪魔な人がいれば消してくれるのでしょう? 都合の良い仕事人に思うわ」  リーナの笑みが少しずつ歪んでいる気がした。必死に笑顔を保っている風に見えて仕方なく、安侮の内心では腹を抱えて笑いころげていた。 「あなたも何か消して欲しい邪魔者がいたら、喜んで消しに行きますが?」 「……そうね。いたら直ぐに貴方に頼もうかしらね」  目線をずらして話すリーナに、安侮の内心は未だに笑い続けていた。表に出そうなそんな感情を何とか抑えて、安侮はカップに口付けた。     ‥  飛龍と闇乃は、料理店にいた。 「久々に、女々しい姿になったな」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加