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「うわっ」
一瞬の内にコウモリ達は、闇乃の体を覆い尽した。
「闇乃!」
飛龍がM16を片手で構えるが、コウモリ達は集団で固まったまま、素早くその場を離れ、闇乃を連れて飛び去ってしまった。
(あの方角、正か……)
飛龍には心当たりがあった。今、コウモリ達が向かっていったのは、安侮達が行った方角と全く一緒なのだ。飛龍はコウモリ達を見失わぬ様、箱やパイプをジャンプして民家の屋根に乗り、コウモリの大群を見ながら屋根を飛び移っていった。
‥
リーナの屋敷の最西端にある小さな部屋。ここは病院の手術室と同じ構成だ。メスや注射器、薬から──死体まで様々だ。
死体は一体だけで、端っこの壁に寄りかかる様に座り込んでいる。酷く青い肌で、やけにゲッソリしていた。そして首元から僅かな血が滲んでいたが、既に乾ききって凝固している上、どれ位経っているのか、黒に変色していた。目は見開ききっていて、今にもポロリと外れそうだ。
「あの小娘の死体にはまだ何も手を出していないのか」
「申し訳ありません、メイド長」
手術室に響く複数の声。そこには三人程のメイドと、彼女達より少し背の高いメイドがいた。背の高い、長い金髪の彼女が長なのだろう。
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