第2話:永久ニ美シキ血マミレノ夫妻

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「何があろうと、リーナ様の機嫌だけは損なうな。さもなければ、ここでお前達も処分してやるぞ」 「今すぐ手術を始めます」  メイド達はタイミングぴったりに頭を下げ、三人共同じ角度で体を折り曲げた。  そこへ手術室の扉が開いた。 「勝手な入室は許さんぞ」  メイド長は開いた扉に向かって声を上げた。 「申し訳ありません、メイド長」  新たなメイドが三人現れた。一人はお辞儀をし、あとの二人は担架を使い、誰かを運んできた。 「リーナ様のご命令です。この男の生き血が欲しいと、おっしゃっていました」 「……分かった。手術台へ移せ」 「かしこまりました」  あっさりと許可を与えたメイド長に、メイドは再び同じ様にお辞儀をする。そして担架を握る二人は、手術台へと足を動かした。  担架で運ばれたのは、睡眠薬で眠っている安侮だ。安侮は手術台へ移されても、未だに目を閉じたままである。 「それでは頼んだぞ」 「かしこまりました」  手袋をはめたメイドはカチャリとメスを持った。磨き抜かれたメスは恐ろしい程にギラリと光を放つ。そして刃を、彼の首元までゆっくりと下ろす。そこで少し前へずらし、一気に引いた。  しかし、裂いた筈の安侮の首からは血が噴きださない。それどころか、傷一つ出来ていなかった。
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