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「馬鹿者、失敗は許されんぞ」
腕を組んでいるメイド長は、失敗したメイドに静かに怒鳴る。メイドはさっきと同じ、謝罪をする。
「申し訳ありません、メイ……」
メイドが言い終わる直前、彼女のメスを握っている片手が床へボトリと落ちた。何があったと誰もが思っている間にも、今度は彼女の首が床へ落ち、ゴロンゴロンと転がっていった。
「手術の失敗にしちゃあ、とんだ大惨事になったなあ」
首と片手がなくなったメイドの体が崩れ落ちると同時に、安侮は体を起こした。安侮がニヤリと笑みを向け、メイド達は顔を見合わせ戸惑う。
「あんな小細工に引っ掛かるかよ。言うの忘れてたけど、俺に手を出したら誰だろうと死ぬぜ」
片手でクルクルとメスを回し、刃先にそっとキスをしながら、彼女達に目線を上げ、低く小さく一言放つ。
「俺は死神だからな」
「奴を殺せ!」
「Yes、Sir!!」
死んだメイドを除き、メイド達は毒入り注射器や幾本ものメス、硫酸の入った瓶などを握り、身構えた。安侮は、フゥッと笑んだまま溜め息を吐いた。
「セクシーなメイド達なのに、物騒なの持ってんな」
メイド達が一気に向かってくる。
安侮は座ったまま、注射器を握るメイドに向かって片手でメスを投げた。メイドの額にそれが深々と突き刺さり、刺された勢いでメイドは仰向けにバターンと倒れた。
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