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「兎に角、逃がす訳にはいかない。奴らには再生能力があるからな」
「うん。その能力を封じ込めない限り、奴らは何度でも甦るよ、きっと。──やれやれ、とんでも無い悪魔屋敷へ来たねぇ」
二人は武器をしまうとクルリと振り返り、回廊を走り出した。長い長い回廊だが、疲れ知らずの二人は変わらぬスピードで駆けていく。
(………)
闇乃はチラリと飛龍を一瞥した。
飛龍の冷めた無表情は相変わらずだが、闇乃の目は誤魔化せ無い。飛龍の目が、焦りの色を僅かながらに滲ませているのだ。その理由は安易。しかも考えただけで微笑ましく思ってしまい、それがほんの少しだけ顔に出てしまった。
「ねえ、飛龍」
「?」
飛龍は目線だけで返事をした。闇乃も目線を彼と合わせ、口を開いた。
「もしかしたら、安侮の事心配してるでしょう?」
そう問うが、飛龍はこちらを見てから数秒経つと再び目線を戻した。何も答えなかったが、それだけでも十分な答えと言えよう。
聞こえない程度にクスリと微笑した闇乃も目線を戻した。
「イヴァンてば遅いわっ。メイド達も何をやっているのか」
リーナの広々とした部屋にて、リーナは立って腕を組みながら、窓の外の蒼白い満月を見上げながら溜め息をついた。
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