プロローグ:現れし影

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 老人の男は笑顔で答えた。  人物は、彼等はどこぞの教徒なのだろうかと何と無く思い、軽く息を吐いた。  少しすると、奥の扉が、木の擦れる音を立てながら開かれていく。そこに現れたのは、例の男だ。相変わらず暗闇の所為で、顔はまだハッキリとは見えない。  彼は大きな布袋を片手に、人物の前までずかずかと大股で近付く。   「ほら、メタボの首、もらっといた」 「ご苦労だった」    そして横へ来る途中、片手でポンとそれを投げ、人物は片手で軽々とそれを受け取る。そして二人の老人に振り向く。   「では約束通り、依頼料の件に移ります」 「わかりました」    影の男がこちらを向く。ロウソクの明かりに照らされ、影から顔が覗く。イヤらしく笑む口と鋭い瞳が、老人達を見下ろした。   「良い子ちゃんにしてねえと、あんた達でも首を撥ねられるから、用心しときな」    聖なる大聖堂の中での彼の笑みは、悪魔そのものであった。         ‥      最凶の殺し屋組織『MORS』。  彼等の次なるターゲットは、あなたかも知れません。くれぐれも用心あれ。
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