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そして2人とも黙ったまま1時間くらい経った時に、神様に頭を冷やせと言われてるかのごとく雨が降り始めた。
最初、フロントガラスにポツポツと後が残るくらいだったのが時間が経つにつれて段々と大降りになって来た。
お互いが口を開かないまま時間は進み、気が付くと雨は、止んで渋滞も解消され始めた。
その時。
「あっ!!」
と、俺は声を上げるが、彼女は、口を真一文字にしたまま俯いている。
「おいっ!!」
続けざまに声を上げる俺を気にして彼女は、
「ん?」
と、つぶやきながら顔を上げると、目の前の空に綺麗な虹が掛かっているのを見つける。
「あぁ!虹だぁ!
スゴイ!めっちゃ綺麗!
写メ撮っとこう!!」
大きな歓声を上げながらケータイを取り出し、パシャパシャと写メを撮りまくる。
その姿を見て「プッ」と噴き出してしまう俺
それを見て彼女は、まだ機嫌悪そうに
「何よっ!?」
と、言ってきたが
「いや、何でもないよ」
と、返事をして彼女に俺のケータイを渡す。
「今、手が離せないから俺の分の写メも撮っといて!」
――そして今日、予定通り結婚式を挙げる俺達だけど、今でもケータイの待受画面は、あの日の虹です。
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