プロローグ

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「おそらく、憧双様が考えているとおりかと。」 その小さな言葉にケヴィンが丁寧に返すと、憧双は泣き笑いのような表情を浮かべた。 「逝去(せいきょ)されたか……」 「いかに最強と謳われていた魔王様であっても、病には勝てなかったようです。」 ケヴィンが淡々と報告すると、憧双は皺くちゃの顔をさらに皺くちゃにしながら苦笑した。 「なかなか厳しい言葉じゃな……魔王様が泣くぞ?」 「泣くような方じゃないでしょう? 死ぬ間際まで、目をギラギラさせていたのですから。」 ケヴィンは若干早口にながら言うと、ゆっくりと憧双に近付いた。 「そういうわけで、城までお越しいただいてもいいですか?」 「そのためにきたのじゃろ?」 その言葉に憧双は悪戯っ子のように言えば、今度はケヴィンが苦笑を零した。 「全くその通りです。 あなた様がいないと、次の魔王様を決めれないんですよ。」 そう言ってケヴィンは優しく憧双の腕を掴み、窺うように視線を向けた。 .
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