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「俺はそんなに詳しくはないんだけど、人間であっても魔王の魔力を継ぐことはあるんだ。
現に、前魔王も人間だったし。」
そう言ってモールスはルナの頭を撫でると、上から覗き込むように視線を向けた。
「ルナちゃんは、魔王になりたくない……?」
ストレートなモールスの言葉にルナはちらりと視線を向けると、何も言わずに頷いた。
「まぁいきなり拉致されて、魔王になれって言われてもなぁ……確かに混乱するね。」
ぽんぽんとルナの頭を叩きながらモールスはしみじみと言えば、憧双は小さくため息をついた。
「では……ルナ様、こうしましょう。お試し期間を設けます。」
「お試し期間?」
その言葉にモールスが不思議そうに首を傾げると、憧双はゆっくりと頷いた。
「さよう、ルナ様は魔界について何も知らない。
まずは見て、聞いて、感じて、魔王になるかどうかは後から考えてもらいたいのじゃが……どうでしょうかな?」
そんな憧双の提案にルナはしばし考えると、そっと窓の外を見つめた。
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