プロローグ

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寒い、寒い夜だった。 石造りの大きな城から、まるで慟哭(どうこく)のような地響きが響く。 それに驚いたのか、一斉に蝙蝠(こうもり)が星のない空を駆け巡った。 「とうとう、きてしまったのじゃな……」 そんな異様な光景を切り立った崖の上から見つめていた人物が小さく呟くと、すっと皺くちゃの顔を城に向けた。 するとまるでそれを見計らったかのように、城の高い塔に付けられた大きな鐘が重い音を響かせる。 「鎮魂の鐘―――90年ぶりに聞く音色じゃな……」 「憧双(どうそう)様。」 何かを思い出すように目を閉じるその人物―――憧双の背後に誰かが空から降り立つと、まるで悪魔のような黒い羽根をゆっくりと背にしまった。 「捜しました。」 「ケヴィンか……」 憧双が杖を片手にゆっくりと振り向けば、そこには透き通るようなスカイブルーの瞳を持つすらりとした青年が立っていた。 「わざわざわしを呼びにくるとは、やはり……?」 .
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