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あるホテルのバーにて
薄暗いカウンターでお酒を片手に話し合う男と女
「社長、いつになったら直哉と一緒に仕事できるの!?」
女は訪ねる
「心配しなくても大丈夫だ…“これ”を使ってすぐ契約にこぎつける。」
“これ”を胸ポケットから取り出し女の目の前に置きながら男が答える
「ねぇ…社長は彼女が欲しいんでしょ!?」
女の真っ赤なルージュの唇からつむぎ出される妖艶な言葉
共に動く真っ赤なネイルを塗った指が怪しげに“これ”をなぞる
目の前に置かれた“これ”を怪しげな笑みで2人は見つめている
彼らにとって“これ”は自然に笑みが洩れるほど嬉しいもの
2人の願いを叶えるための“切り札”だった
2人の目の前にある“これ”
その正体は仲よさげに笑い合う男女の隠し撮り写真だった
何度も女の真っ赤なネイルを塗った指は怪しげに写真をなぞる
「愛香はコイツが欲しいんだろ!?」
男もまた写真に写る“コイツ”を指差す
「うん♪これいくらで売れるかなぁ~!?」
女は目の前にある写真に視線を送る
「さぁな…売る気はないからな…」
男はあいまいな返事をする
「じゃあ、天下のL1の社長木村和広はこれをどうするつもりなの!?」
女は怪しげな笑みで訪ねる
「知りたいか!?」
男も怪しげな笑みで訪ねる
「えぇ…」
「じゃあ私が知りたいことも教えてくれ。」
「何!?」
「カリスマモデルの愛香がなぜ直哉にこだわるのか…理由を聞かせてくれ…」
「いいわ♪」
「じゃあ続きはこっちでベッドにでも入って話そうか(笑)」
男はホテルのカードキーをカウンターにある写真の横に並べる
女は笑いながらキーを受け取り
男は写真を忘れずに胸ポケットにしまった
2人は並んでバーを出てホテルのスウィートルームに消えていった
その後どんな会話がかわされ、何があったのか知るものは
張本人の木村と愛香だけだった
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