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折れそうな心を必死に奮い立たせて菜々美は震える手を握りしめた
【この会社にスパイがいるなんて…信じられない…】
まだ話が事実として菜々美には理解出来なかった
テーブルには加納と蓮の手紙が並んでいる
まず加納からの手紙を読もうと菜々美は手を伸ばす
震える手で封を開けると直筆で書かれた便箋が入っていた
〔この手紙を読んでいるということは事実を田中から聞いたのだろう…
まずはじめに
君に非はまったくないのだからこの件について自分を責めるのはやめなさい…
また一緒に働いている仲間を疑わずにはいられない状況は
かなり堪えるだろうが今まで通り仕事に励んで欲しい。
その代わり、必ず私と田中で決着を付け
君にこれ以上被害が起きないよう最善策をとって守ることを約束する。
今わかっていることはL1の木村が怪しいということだけだ。
もし木村や関係者から連絡があったら必ず知らせるように…。
仕事の関係も含めて君を娘のように可愛がっている蓮にもこの話はしてある。
困った時は頼りなさい。
この間、直接電話で話した時に伝えるべきだったのに黙っていたことと
事態が小さく問題になる前に防げなかったことについては
本当にすまないと思っている。
この件が解決したら
電話で聞いた君の願いを叶えたいと思っている。
楽しみに待っていてくれ。
加納信昭〕
読み終わった手紙を菜々美はゆっくり封筒にしまった
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