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「そんなわけねぇよ」
つい大きな声を出してしまった。
「…ありがとうね」
透は目を丸くしたのち、笑って俺の頭を撫でた。
ここ一ヶ月でわかったのが透は頭を撫でるのが好きで、俺はそれが嫌いじゃない。
「あのね、春の小道を冬、恋人と歩くとその人と幸せになれるんだって…」
「俺そーいうの聞きたくない」
昔から、女に縁がない俺は嫌な顔にする。
「彼女いないからでしょ」
透はからかうように言ったけど俺は素直に
「うん」
とうなずいた。
そんな俺をみて透はふふっと笑うと
「だからさみしーどうし楽しもうぜ」
透はそう言った。
いつもの強がりなせりふだ。
俺が彼氏だったら、そんな台詞はかせない。
透が彼女だったら…なんて頭に色々よぎったけど、俺はあがいても友達なんだ。
それでいんだ。
友達でも、透のそばにいてあげれる。
だから、明後日も一緒にいるよ。
そんなこんなで俺と透は春の小道に冬に行くことになった。
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