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バイトが終わって、春の小道公園に透と向かう。
近所なので徒歩。
手なんかは繋げないから、俺の後ろを数歩遅れて、透はてけてけとついてくる。
人に合わせて歩くのが苦手な俺だけど、透を意識して少しだけ合わせる。
春の小道は5分ほどでついた。
桜の木に全てイルミネーションがついており、中央の噴水は様々な色でライトアップされ、まわりには光でできたトナカイとサンタがいた。
「きれー」
透が駆け出して噴水の近くのベンチに腰かけた。
「けいすけー」
手招きされ、俺は素直に横に座る。
「やっぱねーカップル多い」
耳にこそこそ、透は言った。
言われてよくみればカップルの姿が多い。
「イブだから仕方ないか…」
透の一言で今日は何日か思い出す。
12月24日、イエスの生誕日。クリスマスイブだ。
「あ、そうだ。だからバイト忙しかったんだ。」
飲み屋のバイトはめったにないカップル客の多さだった。
「…もしかして気付いてなかった?」
透がおかしそうに言った。
「うん」
「あはは…やっぱ啓介変ー気付けよ」
透は爆笑。
「俺はキリスト教じゃないからいいの」
ちょっと気恥ずかしくて、透のでこをぺちっとした。
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