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春の小道は意外に長くて、反対の入り口まで5分くらい。
ずっとイルミネーションが輝いていて、綺麗だった。
透は普段クールなのだが、珍しく外でも、はしゃいでた。
そのせいか、俺の後ろで派手にこけて、しりもちをついた。
「ぉぉっ、今時、そんな転び方めったにしないよ、大丈夫?」
その格好がおもしろく、つい笑ってしまう。
「笑うな!真剣にこけたの」
「真剣ってなんだよ」
恥ずかしいのを隠すために怒る透。
おもしろい。
「るっさぃ…ヒールが折れた」
ひょいとみると透のブーツのヒールは見事に根本からぽっきり切れていた。
「ん…こりゃ、こけるね、大丈夫?」
困った顔してる透をなぐさめたくて、頭を撫でた。
「うん、おしり痛い」
おしりをさする透。
透と目が合う。
ムードぶち壊しで、おかしくて二人で爆笑。
ひとしきり笑ったら、
また透と目があった。
きょとんとする瞳がかわいくて
俺は人前にも関わらず、キスをしてた。
触れるだけの軽いキス。
「…これこそ、やばいんじゃねぇ?」
俺の顔が離れてから、透がいじわるそうにそう言ったけど、顔は笑っていた。
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