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ひとつ、ひとつがかわいくて、心がぎゅって捕まれてる気分。
でも今は、そんな感傷にひたってる場合じゃない。
いつまでもコンクリの上に座っていたら透が冷える。
ヒールが折れたんじゃ歩けないし…
「透、おぶるよ」
それしかない。
「おもいよ?」
「俺も一応男だから、透ぐらい平気だよ」
とは言ったものの少し心配。透は細いけど、身長があるからだ。
でも、これが最良なので、透を背中に乗せた。
「重くない?」
透は心配そうに言った。
「んーこんくらいなら全然平気」
「…無理しないでね、あたし重いから」
「平気だってば…」
本当に体重は軽くて平気だった。
それよりも、透の匂いとか、透がくっついてる方がやばかった。
心拍数があがる。
俺はどきどきしながらも透を家まで運んだ。
さすがにちょっときつかったけど、春の小道公園のジンクスは少なからずあたっているのかもしれない。なんて思った。
そう思っているのは俺だけなのかもしれない。
だけど俺は、すごく幸せな気持ちになれた。
ずっと透とこんなにして過ごせたら…
そんなの不可能だって知ってる。
でも、願う俺はあほなのか。
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