30ぶんの1

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俺が荷物を片付けてたら、ご飯ができたみたいで、サラダとビーフシチューが出てきた。 「うまそぉー。俺、透さんのビーフシチュー大好きなんだ」 「そう思って作ったの。さっ、食べよっか」 二人で"いただきます"をして食べる。 俺、知ってるんだ。 透さんが二人でいる時間を増やす為にご飯を俺が来る時間にあわせて用意してること。 このドレッシングも嫌いなくせに、俺がこれ好きだから出してくれてること。 夕御飯はいつもお酒だけで食べないことが多いのに俺に合わせて食べてること。 「やっぱりさ、透さんが俺のお嫁さんだよ」 俺はしみじみ言う 「なんで?」 理由はたっくさんあるけど、言わない。言いきれない。だから、 「ご飯がおいしーから」 って言ってみた。そしたら、 「これ市販のルー使ったやつだから誰でも作れるよ」 かわいくないことを言う透さん。 「…おいしいの!!」 でも、俺は負けずに言った。 そしたらほら、やっぱり透さんは笑うんだ。 毎日このご飯と笑顔があれば最高なのになぁ おいしいビーフシチューをおかわりしながら俺はそう思った。
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