夏の思い出 ～大野竜也の場合～

～再会～

オレは中学では陸上部に入った。
身長は一年生で165センチとまぁ標準よりちょい高めかなというくらいだった。
種目は幅跳びを選んだ。

義之の活躍を知っていたオレは負ける訳にいかないと思い、走り込みも筋トレも人一倍やった。
その成果が出たのか、２年生の終わりには県大会で優勝。翌年には全国大会に出場した。

高校は推薦で県内一陸上部が強い学校へ入った。
入学当初は新入生の中で一番オレが注目されていた。同年代では県内トップの記録を持っており、全国ランクでもトップ１０に入っていた。

誰もが、いずれオレは全国制覇をするだろうと思っていた。

しかし、思うように結果はついてこなかった。

記録会では自己ベストを更新していったが、大会では不振が続き全国までいつも一歩届かなかった。

結局、３年目の最後の全国大会出場を賭けた試合では３つのファールで失格。何一つ周りの期待に応えられないまま高校の陸上生活を終えた。

大会で結果は残せなかったが、記録は残っていたので色々な大学から誘いが来た。が、オレは全て断って陸上という名目を利用せずに地元の大学へ進学した。

陸上は、もう辞めるつもりだった。