進化、そして夢へ…

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こうして怜華は、徳王高校に合格する為の第一歩を踏み出した。 まず学校では、授業中分からない事や質問に、積極的に手を挙げて聞くようになった。以前は人前で手を挙げる事や声を出すのは、恥ずかしくて出来なかった。まだぎこちないが、勉強しやすくなったのは確かである。怜華の成長は、中間テストの結果からも分かる。彼女の成績は下から数えた方が早かったが、自ら発言するようになってから受けたテストは、クラスで中の上(ちゅうのじょう)にランクアップした、クラスメイト達も、怜華の目覚ましい変化に驚いている。そして学校だけでなく、家庭でも…。いつも怜華は帰宅すると、倒れ込むようにして自分のベッドに寝転がる。決して怠けているのではなく、徒歩で通学しているのでどうしても息が上がってしまい、ある程度落ち着いてから宿題をするのである。 怜華は無理を押して予習、復習、宿題を始めた。休まずに机に向かうのは正直辛かったが『それが自分の為になれば…』と良い方にとらえて勉強を進めた。 家でも学校でも頑張った結果、期末テストでトップテン入りを果たした。麻奈やクラスメイト達は中間テストの時より成績が上がった事に驚くが、何より、怜華本人が一番驚いている。 『自分にこんな力があったなんて…』
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