進化、そして夢へ…

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そんなある日、いつものように制服姿で体育の準備をしていた怜華は、突然の目眩に襲われた。数日前から風邪気味で微熱や寒気があったが『少し休めば大丈夫』と放っておいた。急な運動をすると起こる発作も、最初は目眩から始まり、だるさ、息切れとなる。ひどい時は呼吸困難になる。怜華はいつもの発作の前兆だろうと思い込み、準備を続けた。 この日はバドミントン。そのポールを運んでいる時に、事件は起きた。体育準備室から、4本目のポールを運び出した怜華。バドミントンやバレーボールのポールは重いので、彼女は既に息が上がっていた。すると、またも強い目眩が襲った。怜華はその影響でポールを床に落としてしまい、バランスを保てずにそのまま倒れてしまった。 広い体育館に、もの凄い音が響く。音は“やまびこ”のように反響させる。ポールの下敷きになった怜華は朦朧とする意識の中、心の中で『助けて』と叫んでいた。誰よりも先に来て準備をしていたので、誰にも気付かれないまま怜華は意識を失った。
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