進化、そして夢へ…

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―――体育館に向かっていた麻奈は、大きな物音に気付いた。それは体育館の方から聞こえ、麻奈は無意識に走り出していた。そして体育館の重い扉を開け、中に入ると、ステージ近くのバスケットゴール付近に倒れている怜華を発見した。 「椎名さん!」 思わず出席簿を投げ出し、怜華に駆け寄る。 「椎名さん、しっかりして!」 抱き起こして軽く頬を叩いても、怜華は反応しない。麻奈はこのままではいけないと思い、保健室へ連れて行こうと怜華の腕を自分の肩に乗せ、体育館を出た。途中、廊下で体育館へ向かう生徒と擦れ違ったが、事情を説明して他の体育担当の教師に代わってもらうようにと言った。 麻奈によって保健室に運ばれた怜華は、まず最初に体温を計った。といっても、怜華は意識を失っているので保健室のベッドに横になり、先生に体温計を入れられた。結果、怜華の体温は37.8度の微熱。幸い怜華は腕の打撲だけで済んだが、麻奈は責任を持って彼女の意識が戻るまで見守る事にした。麻奈は怜華の顔を見ながら思いを巡らせる。 怜華が倒れたのは、自分のせいではないのか…。自分が怜華より早く体育館へ行って、授業の準備をするべきだったのでは…。もっと早くに彼女の異変に気付いていたら、怪我をしないで済んだかもしれない…。 後悔の念に駆られていると、今まで意識がなかった怜華が目を開けた。
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