もう…一人じゃない

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「この前、クラスメイトから変な目で見られてるって言ってたでしょ?もしその子達が怜華ちゃんを始めから“いない”存在にしてるなら、僕は逆に怜華ちゃんの存在を認めるよ。だって実際、僕の隣に怜華ちゃんという一人の女の子がいるんだから。君は、立派な人間として生きてる。だからもう、一人じゃないんだよ」 そう言って怜華に微笑み掛ける高央。彼の限りない優しさが、怜華の人間不信感をなくしてくれた。 「はい…」 再び怜華の目から、とめどなく涙が流れる。 すると、高央が鞄からもう一枚、写真を取り出した。 「その写真、怜華ちゃんにあげるよ。それに、これも」 怜華に差し出したのは、一週間前に彼の写真を拾った時に目を引いた、あの渓谷の写真だった。 「えっ、いいんですか?でもこれ、何かの展示会に出品する作品じゃ…」 「いや、展示会に出すつもりはないよ。それにフィルムで撮ったやつだから、何かに出品ってなっても何枚でも現像出来るからね。…絶景とか、好きなんでしょ?」
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