第一章

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数時間前の話。 もうそろそろ秋到来!な雰囲気の、少し冷たくなりつつある風の吹く中、私は立っていた。 一体こんな肌寒い所で何をしているのかと言うと、実は、クラスは違えど噂ぐらいは耳にした事のある、原田佐野君(なんか、どっちが苗字か解らない名前だなぁ)に呼び出されたからだ。 それも体育館裏と言う、とてつもなく自意識過剰な事を妄想してしまいそうな所だ。 それでもその時の私の頭に有ったのは、色恋方面には全く関係の無い内容だった。 「わわわ私何したんだろう、何か……気に障るような事したんじゃ……!! ああ、ダメ、理由が無いと謝れないよう、助けて海ちゃあぁぁん!!」 ……と、その場で叫び出したかったのだが、流石に目の前に……物凄く眉根に皺を寄せながら腕を組んで立っている原田君を置いては、心の中でつぶやくのがやっとで。 原田君は、サッカー部のエースだ。 そして、とても難しい人だと聞いている。 頑固者で、それが理由で友達も少なくて、人と話すのが嫌いだと言う。
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