第四章

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「あの絵って、何の話や?」 桜庭が走って逃げた事をあまり気にしていないのか、俺の手に残された時計が訊いて来た。 「今、桜庭が部活で描いてる絵」 ずっとあいつに付いてたくせに、しらねェのか。 まぁ時計だし、服ン中隠れてて見えなかったのかもしれねぇな。 俺が立ち上がりながら答えると、時計は「ふぅん」と言い、黙った。 ……時計と会話するってのも、物凄くおかしな話だ。 ってか、すげぇ妙な感覚。 普通に訊いてくる時計も、普通に答える俺も。 俺がまた走りだし、公園を抜けた所で、また時計が言った。 「佐野は、あんまり俺に驚かんのやな」 「驚いてるよ、十分。今時計と喋ってるのだって、すっげぇ奇妙な感じだし。っつーか違和感MAXだし」
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