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「まだ一発目なのに、随分とつらそうな顔してんなぁオイ」
「いつまで立ってられるか賭けねぇ?」
「お、いーじゃん」
三人は、五発だの六発だのと言い合っている。
俺はただ、まだ腹に残る感触と痛みに堪え、立っているのが精一杯だった。
「じゃ、二発目いきまーすっ」
掛け声と共に、一発目と同じ場所に拳がめり込む。
「がっ……!」
俺の膝はガクンと落ち、床についた。
意識が遠くなるのを感じる。
「おい…まだ寝るには、はぇーぞ」
殴った男子が、俺の肩を掴み揺さぶる。
遠くなっていた意識が、瞬時に回復する。
ここで倒れたかったが、そうさせてくれるはずもなく、俺は無理矢理立たされた。
「よーしよし、次いこー」
俺が立ったのと同時に、クラス内に歓声が起こる。
まるで、何かの祭りと勘違いしているみたいに……
「三発目~。そ~れっ!」
さっきの場所より、やや上らへんのとこに、拳が入ったかと思えばすぐに消え、痛みだけが残った。
「うっ……」
段々と、声すらも出なくなってくる。
俺……何で生きてんだろ……?
誰か教えてくれよ………
「四!」
最後にそう聞こえた。
痛みが来たと思ったが、すぐに俺は何も感じなくなった。
ただ、床の冷たさだけを、全身で感じていた………
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