救いの手

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………… ………… ………… もう何も話すことはない。 俺はすべてを話し切った。 今までのつらい過去…… 綾瀬先生の存在…… そして… 初めて出来た友達… 野木の存在も… 話し終えたこの空間は、気まずいというよりは、後悔の方が大きかった。 なんでこんな展開に、なってしまったのだろうか…… すべてを告白してしまって、ホントによかったのだろうか…… 今となっては、取り返せない疑問が浮かぶ中、紫織がそっと口を開いた。 「……少しだけど…気付いてた…」 「そうか……」 疑う余地もなかった。 むしろ、紫織ならば…とさえ思えていた。 「梨乃には内緒な…」 「わかってる…」 ……恐らく、梨乃にもいつか、ばれそうな気がしてならなかった。 これがただの杞憂ならいいが…… 「兄さん…」 「何だ…?」 「つらい時は…いつでも言ってきて…」 なんか… 情けない… 次女に頼る長男なんて…… ましてや、中二が小二に頼るなんて、正直どーかしてるとしか思えないな…… ……でも…… 「…ありがとう…紫織…」 そんな紫織の存在に 俺は安心しているのかも知れない 今まで一人で戦ってきた世界に 紫織という、心強い仲間が入ってきてくれたこと…… 救いの手を差し延べてくれたこと…  
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