救いの手

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俺の返事を聞くと、両親は嬉しそうに 「そう……よかった」 と、本当に心から安堵するように言うのだ。 軽くそんな会話をした後、両親がいなくなった部屋で、俺は泣くことしか出来なかった。 ごめん……ごめんね…… 父さん……母さん……… 俺なんかが生まれてきたから、二人は自分の身を削ってまで、働かなきゃならないんだよね……? なんで…… 俺はこの世に、生を受けてしまったんだろう…… 俺が泣き止むのは決まって、泣き疲れて眠りに入ってからだった…… 中学校に入学してから、二年目の今…… クラス内は、男子の三グループ、女子の三グループが出来ていて、俺はどのグループにも存在していない。 だから体育などで、ペアを作れとか言われると、俺はすぐに保健室に逃げた。 男子の数は奇数だったので、俺が抜ければちょうど合う。 保健室に向かう俺を指差して、笑う奴なんて気にしなかった。 なんて罵られようと、俺は軽く聞き流した。 「お。また来たな」 もう毎週会ってる保険医が、暇そうに椅子に腰掛けていた。 白衣をだらしなく纏い、だらけ全開のオーラを出しているが、一応女性だ。 「すみません……」     この保険医には、ホントに迷惑をかけてしまっている。 「いいって、いいって。どうせ、こっちも暇なんだから。まだ友達出来ないのか?」 まだ……か……  
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