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「いつかは出来ればいいんですけどね……」
「ばっか。んなこと言ってっから出来ないんだよ。明日つくろうと思うようになれ」
そんなの無理だ……絶対……
明日になったところで、何も変わりはしない……
今までずっとそうだったのだから……
「どうせ、出来っこないとか考えてんだろ~?」
あっさりとばれた。
「ハイ…」
素直に白状すると、保険医は呆れたような溜め息を漏らした。
「はぁ~っ……ホントにしょうがないやつだなお前は……」
俺がベッドに腰掛けると同時に、保健室の扉がゆっくりと開いた。
「ん?野木か?久しぶりだな、どうした?」
保健室に入ってきたのは、同じクラスの野木という女子だった。
俺のクラスの中では、比較的大人しいほうだ。
「あの……バスケしてたら、爪割れちゃって……」
見ると、人差し指の先から、血が少し滲んでいた。
「そうか。包帯巻くからこっちこい」
保険医が立ち上がり、包帯を取りに行くと、野木は指示通りに、ゆっくりとこっちに向かって来た。
そして、ようやくベッドに腰掛けている俺に気がついたようで、驚いた表情を浮かべた。
「あれ?西川くん居たんだ?どうしたの?」
なぜか野木は、積極的に話し掛けてくる。
クラスでは、いつも女子のグループで固まっているため、話したこともないのだが……
「いや、俺は……」
説明しづらい……
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