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俺が説明する前に、包帯を持った保険医が戻って来た。
「それがさ、聞いてやってくれよ野木ぃ~」
「へ?何ですか?」
一体、この教師は何を暴露する気だ……
保険医は、野木の指に包帯を巻きながら話し始めた。
「こいつったら、毎週決まった時間に保健室来てんだよ、まったく……」
「えっ?西川くんが?どうして?」
そうか……
体育は、男子と女子で別だから、野木は知らないのか……
「西川ってば、友達がいないらしくてさ。ペアでなんかやる時は、いっつもここに逃げてきやがんだよ」
……ひどいな保険医……
「西川くん友達いないの?」
何を今更……
野木だって知ってるだろ?
この二年、俺が一人じゃなかった時なんてあったか?
「……あぁ……いない……」
俺はそれだけ言うと、カーテンを閉めベッドに潜り込んだ。
「あっ、また逃げやがったな」
ベッドの中に潜っても、しっかりと声は聞こえた。
「それで……綾瀬先生は、いつも西川くんと話してたんですか?」
「まぁ、ちょうど暇な時間だからな」
「そうですか……」
なぜか、野木の寂しげな声が聞こえる。
「うし、これで終わりっと」
保険医が、野木に包帯を巻き終えたようで、立ち上がる音が聞こえた。
「あの……綾瀬先生……」
「ん?どした?」
「その……次、お昼休みだから……ここにいてもいいですか……?」
……?
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