そしてまた一人

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そんなことあるはずがないと、自分に言い聞かせるも、俺の心は不思議と、もやがかかっていた。 矢島が野木に助け舟を出したとしたら、何だってんだ…… 俺には関係ないはずだろ………? ……… ………なのに………… 何だこの敗北感は…… 俺だって野木を助けたかったが、そこまで深くは考えていないはず。 ただ単に、俺が時間割を教え遅れてしまったことに対しての、責任をとりたかっただけ。 それが、友達としての常識だと思ったから。 ………だから、俺じゃなかったとはいえ、結果的に野木は助けられた。 ここは、ラッキーだとか、矢島に対してありがとうとか、普通そういう感情が湧くはずだ………はずだったのに……… なのに、野木を助けた矢島に嫉妬してしまっている。 俺なんか昨日、野木と友達になったばかりなのに、いつの間に嫉妬まで湧かせるほど、自惚れの強い人間になってしまったのだろうか……… …………違う。 いつもの俺はこんなんじゃないはず…… こんなに、感情がはっきりと、出て来る訳がない……… でも、確かなのは…… 俺は野木のことを……… ………………  
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