救いの手

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「よかったぁ~。ね、西川くん」 大人しい性格なはずの野木が、執拗に俺に構ってくる。 一体、野木の中で何が起こってるんだ……? 「何だよ…」 体育を抜け出し、休みに来たはずの保健室で、こんなに疲れることになるとは、思ってもみなかった。 ただ、それより意外だったのは、友達が出来たということだ。 こんなに一瞬で、あっけなく出来るモノだったのか……… 今までの自分が、馬鹿らしく思える。 「メアド交換しようよ」 野木は、体操着のポケットから、携帯を取り出した。 何で体操着から出て来るんだ……? 携帯を使う体育……? ……ないな。 まぁいい。 「携帯…家だから…」 一応、携帯は持っていたが、あまり使う機会がなく、基本放置状態だった。 俺には、持っててもあまり意味のないモノだしな…… 「じゃあメアド書いてもらおっかな。紙…紙はっと~」 そう言うと、野木はごそごそと、保険医のデスクを荒らし始めた。 俺は、クラス内で見るいつもの野木と違う野木を、ただ見つめていた。 「あ、あった。ハイ、ボールペン」 野木が、発見した紙とボールペンを渡してくる。 俺はゆっくりと、それを受け取った。  
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