82人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
……音楽なんて消化授業に過ぎない。
クラスの大半がそう思っていて、みんな思い思いに喋ったり遊んだりしている。
俺はというと、ちゃっかり持ってきておいた、「夏の雪」の台本を見ている。
すると、矢島がやってきて、台本を覗き込んできた。
「お? やけに熱心だな、憂。よっし、俺も見ておくか」
そう言うと矢島は、どこからともなく、丸めてある台本を取り出した。
「や…矢島…」
恐る恐る、神に話し掛けてみる。
「ん?俺のことは耀平って呼べよ。せっかくだから、終わるまで役名で呼び合おうぜ」
正直、矢島の真意がわからない。
まさかの小説好きキャラ?
いや、そうとは思えない。
もしかしたら、これは新たないじめの始まりの前兆……?
俺の考えすぎなのか……?
………わからない……
なにもかもが……
「それで、何だよ憂」
「……何で俺の親友役なんかに……?」
素朴な疑問だが、俺にとってこの質問は、謎だらけの脳内を解放してくれる、重要なキークエスチョンなのだ。
「んー、まぁ色々あるが、簡単に言っちゃうと……」
ゴクン。
矢島の次の一言が吉と出るか凶とでるか………または末吉だったりか。
「………ヒマだったからだな」
…………え
最初のコメントを投稿しよう!