そしてまた一人

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……音楽なんて消化授業に過ぎない。 クラスの大半がそう思っていて、みんな思い思いに喋ったり遊んだりしている。 俺はというと、ちゃっかり持ってきておいた、「夏の雪」の台本を見ている。 すると、矢島がやってきて、台本を覗き込んできた。 「お? やけに熱心だな、憂。よっし、俺も見ておくか」 そう言うと矢島は、どこからともなく、丸めてある台本を取り出した。 「や…矢島…」 恐る恐る、神に話し掛けてみる。 「ん?俺のことは耀平って呼べよ。せっかくだから、終わるまで役名で呼び合おうぜ」 正直、矢島の真意がわからない。 まさかの小説好きキャラ? いや、そうとは思えない。 もしかしたら、これは新たないじめの始まりの前兆……? 俺の考えすぎなのか……? ………わからない…… なにもかもが…… 「それで、何だよ憂」 「……何で俺の親友役なんかに……?」 素朴な疑問だが、俺にとってこの質問は、謎だらけの脳内を解放してくれる、重要なキークエスチョンなのだ。 「んー、まぁ色々あるが、簡単に言っちゃうと……」 ゴクン。 矢島の次の一言が吉と出るか凶とでるか………または末吉だったりか。 「………ヒマだったからだな」 …………え  
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