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ヒマ……?
ヒマってのはその……
やることが何もなく、退屈でたまらない状況の時に使う、あのヒマか……?
いつも楽しげに男子と笑っている矢島からは、とてもヒマなんて雰囲気は感じ取れない。
むしろ、そんな矢島が、とても羨ましく思えてしまうくらいだった。
「ヒマ……」
予想を遥かに超えた回答に、俺は返答の言葉が何も出てこず、ただ復唱した。
「そう、ヒマ。なんか毎日が同じことの繰り返しでさー。もうあいつらとの会話は飽きたっつーか……」
毎日が同じ……
どこかしら、俺もそう思える。
友達のいなかった俺にとっては、学校生活がホントにつまらないものだった。
同じ時間割を毎週こなし、たまに殴られたりするだけ。
もはや、ヒマなんて言葉じゃ、言い表せない日々だった。
それを、あんなに楽しそうな矢島が軽々と、ヒマなんて口にすることが、どこか悔しかった。
「だから、これは暇つぶし。それに、西川……いや、憂だったな。憂とも話してみたかったからな」
「俺と……?」
神が気にかける程の人物になった覚えはないが……
「憂ってさ、あんまり人と話さないじゃん? だから、何考えてんのかとか、どんな奴なのかとか、ちょっと気になってさ」
……要するに、好奇心と興味本意、それに刺激欲しさからか……
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