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「ん~? 憂ってば、いつもあのババアのこと見てんのか~? まさか、憂……あのババアのこと……」
「なっ……! 違う違う! ありえない!」
冗談じゃない。
誰があんなババアのこと……
「ハハハッ、冗談だっての! 憂っておもしれーな! あんなに必死に否定しちゃって」
そりゃそうだ。
必死加減は、それほどまでに拒否していることの表れとしか言えない。
「何だ、冗談か……」
どっと疲れが出る。
親友に、いきなりの勘違いをされる訳にはいかない。
「冗談、冗談~。ほら、食堂行こうぜ?」
「やれやれ……」
思わず口からこぼれたその一言に、矢島はニッと笑いかけてきた。
「どうだ?学校も少しは面白いところだろ?」
……何だか、すべてを見透かされているみたいに思える。
「ああ……学生ってのも、捨てたもんじゃないな……」
これが今の俺の本音だった。
錯覚でも気のせいでもない。
俺は心から、学校が楽しいと思えてきていた。
「だろ? ハハハッ」
「ハハハ…」
俺と矢島は笑い合いながら、食堂へと向かった。
他の人からは、俺と矢島はどう見えているだろうか……
ちゃんと、友達だと思われているだろうか……
もう……
いじめられっ子なんかじゃないよな……?
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